堺ビッグボーイズは、創部36年目を迎える中学生硬式野球チームです。
これまで全国大会2度の優勝や、世界大会へはオールジャパンの選手を15名輩出し、ボーイズリーグの中でも屈指の強豪チームと評価されています。
野球を大好きな子供たちが憧れや大きな夢をもって中学での野球に取組みます。
それを迎える私共は、こんな考えを指導方針としています。是非ご一読を下されば幸甚です。
「手取り足取り」「大きな声で」、教えるのが熱心な指導だと日本では思われがちですが、逆に「教えすぎ」は、自身で「吸収」「見て覚える」「感じる力」を退化させるのではないか?と感じます。
子供が迷った時、壁にぶつかった時、反対の方向に行きそうな時、後ろから方向を導いてあげるのが適切な指導かと考えています。
このタイミングを見極めるのが、良い指導者だと思います。
「経験論」でこうやれ、ああやれは、子供にとって迷惑な時も多いのではないでしょうか?なるべく「同じ目線」で、彼らと向き合い、時には経験上の立場から、時には同じ野球が好きな「仲間」として共に「学び」向上出来ればと考えています。
「明日が楽しみ!」「早く野球がしたい!」そう思ってグランドに来てもらえるようにしたいと思っています。
目標を持って、楽しければ「自然と」上達するものなので。
長い視点で彼らの成長を「見守る」。
中学時点での野球の評価などは、大した問題ではありません。
野球のレギュラーが果たして人生のレギュラーか? 将来どんな人間になっているか?を一番に考えたいと思っています。
野球を通じて学ぶことはたくさんあります。特に「瞬時に判断する」「仲間と強調しあう」これは机の上では出来ません。
よく、「スポーツしている人は礼儀が出来ている」と評価されますが、それは当然の事であって、堺ビッグボーイズでは、「野球をして賢くなろう!」と言っています。
入部してから定期的に矢田接骨院の矢田先生にトレーニング、身体の使い方の指導をしてもらっています。
「痛み」や「ケガ」はあくまで「結果」であって、根本的な身体の使い方や、技術的な問題、あるいは精神的な部分からバランスは崩れていきます。
それが結果として身体の痛みにながるわけで、成長期である彼らの、身体と心のバランスを、トレーニングを通じてしっかりと行えば、「結果」として、ケガは防げるものだと思っています。
ボーイズリーグでも、「エースが肘を痛めた」「レギュラーのうち、半分が故障している」などとよく耳にします。最近あるのが、初めて聞くような病名を言って「肘、肩を手術する」ことが珍しくなくなってきました。
いつも可哀想にと感じています。
堺ビッグボーイズではこの取組みの成果として、最上級生になった時、あるいは卒部して高校に進学する時ほど、ケガや痛みをもった選手が少なくなっています。
あくまで、中学生13~15歳の時期は成長の過程であり、結果を求める時期ではありません。
言葉で表現すれば「熟成」させる時期ではないでしょうか?
日本では高校野球が大変盛んで、特に全国大会にあたる甲子園球場への出場を目指して、多くの球児が野球を志しています。
目標を持って日々努力をしたり、スポーツに励むことは大変良い事ではありますが、過熱する余りに弊害も多いのではないかと感じています。
高校野球の選手としてプレー出来るのは16~18歳の時期で、中学の時期と同様に心も身体も成長の過程です。
18歳で「ピーク」を求めるあまり、無理な連投をしたり、早い時期から使い過ぎたり、また、成長過程にある選手を、もう使えない選手として判断してしまったりという例も数多く見てきました。
甲子園に出るために、やや成長時期の早い、中学生の有望選手を熱心にスカウトする高校も多く有ります。
特に昨年話題にあがった「特待生問題」もその一つです。
あくまで高校野球は「クラブ活動の一環」ですから、基本は勉強をして入学してきた選手を育てることだと思いますが、実際の活動期間(2年少し)で、「すぐに使える選手」をスカウトする傾向は増加していると感じています。
特に私立の学校にそれが多いですが、何が目的なのか?誰が甲子園に出たいのか?が逸脱しているように思えるのも少なくありません。
よく彼らが中学3年生になると、色々なチームの指導者や保護者から、どこの学校に進学するのか?
何校からスカウトされているのか?
特待なのか?
などの声を耳にします。
そこには多分に大人の見栄も見え隠れされ、いつもあまり良い気分にはなれません。
ここ最近、「あのチームは○○高校にルートがある。最近有名な学校に多く進学している。」
堺ビッグボーイズではここ数年、学力の高い高校へ進学する選手が多くなりました。
また、普通に受験をして大阪の私学や、公立高校に進学している例も多くなり、いわゆる「野球留学」の割合は、他チームよりも少なくなってきています。
それぞれのご家庭の方針ももちろんですが、チームでの進学についての方針にも理解や賛同を示してもらっているとも感じております。
そして、もう一つここで皆さんに知っておいて頂きたいのは、甲子園出場常連の高校、名門と言われる高校の出身選手が、比例してその後の野球人生を順調に歩んでいるのではないということです。
高校でやりすぎたり、勝つことが全てであったりで、ケガをしたり、もしくは「野球はもういい」と感じてしまったりしてしまう例をたくさん見てきました。
また、甲子園ばかりに捉われすぎて、その後の目標が見付からずに、それまでに培っておくべきことが野球以外なされていない例も大変多いように思います。
あのチームにいて、その高校に行って、将来どんな選手になっているのか?
どんな社会人になっているのか?が一番重要なことで、甲子園に出たのか?
レギュラーだったのか?
などは二の次だと言う事です。
なので、進学についても、そのような視点でこれからも相談していきたいと考えています。
彼ら、一人一人の将来を見据えて、保護者の方と相談し決定しますが、基本は中学校での生活、学力が優先であると考えます。
特に留意しているのは、有名だから、甲子園によく出ているからではなく、また、専用グランドがあるからでもなく、指導者、先生のお人柄、指導方針がその先に考慮すべき点であると思っています。
野球が好きで、目標や夢をもって頑張っている子供たちを、野球を通じて成長してもらうように努めるのが我々の役目です。
当り前なのですが、指導者や保護者が野球をするのではありませんし、彼らの評価をそこですべきではありません。
よく、試合での勝った、負けた。
試合に出ているのか、そうでないのか?を、理由に、子供を叱ったりすることがありますが、指導者、保護者とも一時の「結果」のみを見て、怒ったり、叱ったりするのは「百害あって一利なし」だと感じる事が多いです。
好きな野球で汗をかき、夢をもっている彼らは、それぞれ早い球を投げたい、上手くなりたい、いいプレーをしたいと思っています。
失敗しようとか、負けてもいいやなんて誰も思っていません。
彼らの失敗は場合によっては成長過程において、むしろ成功への足掛かりにもなるはずで、色々なことがある、と認識する格好の場である時も多いのではないでしょうか?堺ビッグボーイズでは、野球の話を保護者から持ち掛けることをあまりしないようにお願いをしています。
むしろ彼らから話し掛けてきた場合、特に良い時のことは耳を傾けて聞いてあげて欲しいとも言っています。
子供には子供同士の世界があり、彼らは敏感にそれらを感じとっています。
うまくなって嬉しいのも、勝って嬉しいのも、負けて悔しいのも、ミスをして情けないのも、彼らが成長するプロセスだと思って、関わる大人は接したいと考えます。
「人と比較する」これは相手に左右される事であり、自分に矢印が向きません。
誰よりも彼らの成長を願っているのは他ならぬ保護者の皆様です。お子さんの大好きな野球を通して、未来の社会を担う子供たちの成長を育みましょう!!